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疑惑
久留須の意識は暫く戻らないだろう。
春奈の方は、手錠以外の全てを外した。
警察もまだ来ないだろう。
少し春奈さんとお話でもしているかな。
「ところで春奈さん。峰谷先生とは、どんなお話をしていたか、教えて貰えないかしら」
「どんなお話って……」
春奈は下を向き、話してくれない。
「最近したお話でもいいは。覚えている範囲で構わないから」
「峰谷先生は何時も私達を励ましてくれました」
「どんなふうに」
「色々と優しい言葉をかけてくれました。君達は堂々と生きていいんだよとか、君達はこれからやりたい事をやっていけばいい。どんな事でも、高い志を持って行えば、明るい未来が君達を迎えてくれるとか……。ですかね」
「そんな感じの言葉を何度も繰り返し、言われていたのかな」
「そうですね。会いに行く度にいわれていました」
「他には?」
「他には特になかったと思います。ただ、優しく、何度も同じような言葉で、私達を励ましてくれました。峰谷先生は今回の事件に関係ないですよ!全部、私と久留須でやったことですから!」
最後の言葉には、かなり力が込められていた。
そういう事……。
私はほくそ笑む。
そろそろ、私がお願いした調査結果が届く頃だね。
警察が到着した。
現場の説明を終えたら、署に戻る事にした。
新たに追加した調査結果に目を通すために。
現場での説明を適当に済ませて、私は署に戻り、机の上に置かれていた封筒を開け、中の資料を確認する。
成程ね。
ようやく繋がったは。
動き出すのは春奈と久留須の事件が明るみになってからかな。
どんな反応をするか楽しみね。
今日は一旦、自宅に戻る事にした。
納得いくまで突き詰める。
私なりのやり方で。
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