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今回の事件を調べていたら、隣の県で似たような事件が起こっていた。立て続けに二件起こっている点、殺害方法が異なる点、かなり類似しているな。しかも両親には子供の虐待の疑いがかかっている。
事件の詳しい内容をしりたいが、隣の県は管轄外か……。
待てよ……。
「おい。杉山。お前、隣の県警に知り合いとかいないのか」
「いますけど、何でしょうか」
「丁度良かった。隣の県でも先月、殺人事件が起こったよな。内と類似している点が多い。詳しい資料を貰えないか。内密で」
「冗談じゃない。そんな危ない事なんかできませんよ。ばれたら問題になりますよ」
「だから頼んでいるんじゃないか。お前なら内密に出来るよな」
少し意地悪な笑みを浮かべながら会話を進めていく。
「お断りします。沖田さんの為に危ない橋を渡る気はありません」
「良いのか。そんな事を言って~」
「どういう意味ですか」
「この前お前と一緒に犯人を逮捕した時だけどさ。お前のミスで犯人を取り逃がしそうになったよな。私が犯人を叩きのめしたから問題になっていないけどな」
「だから何でしょうか」
杉山の言葉に力が無くなっていく。
「その件の報告書、これから書くんだけどさ。正直に書くと、お前のミスが上に分かることになるけど構わないのか。頼みを聞いてくれたら、私が逃げようとしたから叩きのめした。てことにしても構わないんだけどな。ミスは出世に響くぞ」
「狡いですよ。沖田さん」
「どっちが良い?私はどちらでも構わない。お前の判断次第だな」
悪趣味な笑みを浮かべながら、杉山に問いかける。
「本当に底意地が悪いですね。分かりましたよ。上手く取り寄せてみせますよ」
杉山は険しい表情を浮かべて、私の前からいなくなった。
頼むぞ。杉山。
私はそう心の中で声を出し、今日は帰ることにした。
資料が揃ったら、本格的に動き出すか……。
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