事件

2/3
前へ
/27ページ
次へ
 今回の事件を調べていたら、隣の県で似たような事件が起こっていた。立て続けに二件起こっている点、殺害方法が異なる点、かなり類似しているな。しかも両親には子供の虐待の疑いがかかっている。  事件の詳しい内容をしりたいが、隣の県は管轄外か……。  待てよ……。 「おい。杉山。お前、隣の県警に知り合いとかいないのか」 「いますけど、何でしょうか」 「丁度良かった。隣の県でも先月、殺人事件が起こったよな。内と類似している点が多い。詳しい資料を貰えないか。内密で」 「冗談じゃない。そんな危ない事なんかできませんよ。ばれたら問題になりますよ」 「だから頼んでいるんじゃないか。お前なら内密に出来るよな」  少し意地悪な笑みを浮かべながら会話を進めていく。 「お断りします。沖田さんの為に危ない橋を渡る気はありません」 「良いのか。そんな事を言って~」 「どういう意味ですか」 「この前お前と一緒に犯人を逮捕した時だけどさ。お前のミスで犯人を取り逃がしそうになったよな。私が犯人を叩きのめしたから問題になっていないけどな」 「だから何でしょうか」  杉山の言葉に力が無くなっていく。 「その件の報告書、これから書くんだけどさ。正直に書くと、お前のミスが上に分かることになるけど構わないのか。頼みを聞いてくれたら、私が逃げようとしたから叩きのめした。てことにしても構わないんだけどな。ミスは出世に響くぞ」 「狡いですよ。沖田さん」 「どっちが良い?私はどちらでも構わない。お前の判断次第だな」  悪趣味な笑みを浮かべながら、杉山に問いかける。 「本当に底意地が悪いですね。分かりましたよ。上手く取り寄せてみせますよ」  杉山は険しい表情を浮かべて、私の前からいなくなった。  頼むぞ。杉山。  私はそう心の中で声を出し、今日は帰ることにした。  資料が揃ったら、本格的に動き出すか……。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加