遺書の下書き

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気晴らしに外に出た。 部屋着のスウェット一枚では さすがに肌寒かったので、 カイロ代わりに近くのバス停の自販機で お気に入りの缶コーヒー(恥ずかしながら無糖は苦手なので微糖)を買い、中学時代放課後の溜まり場にしていた公園に向かった。 昨日の雨で少し湿ったベンチに腰掛け、 煙草に火をつけ安物のヘッドホンで音楽を聴いていた。 いつもなら無音だと落ち着かないほどに 常に何かしら音楽を聴いているのに、 その時は何故か流れてくる音楽たちを 邪魔に感じ、気持ちが悪くなったので ヘッドホンを外した。 周りの皆は家族や友達、恋人と飯を食べ、酒を飲み、今年を振り返って懐かしんだりして楽しく過ごしているのか。 ぼんやりと考えた。 その時胸がズキっと痛んだ。 勝手な妄想をしてしまったために 久しぶりの孤独を実感した。 寂しい。 こんな感情は初めてだった。
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