遺書の下書き

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自分が作ったまっさらな遺書を見て 不謹慎な笑みを浮かべる私に 貴方は不安になったらだろう。 私を狂っていると思っただろう。 だが、私には可笑しくて仕方なかったのだ。 死にたいと願うくせに 生きている間の思い出、 死にたい理由、 何ひとつも思い浮かばないのだから。 どうして生きていたくないのか、 どうして死にたいのか、 いくら自分に問うても 分からなかった。 自分で自分のことが分からなかったのだ。 「貴方の理解者は貴方だけ」 「自分のことは自分にしか分からない」 感情を持たず何を考えているのか分からないと 大人達は、私にそう投げかけた。 私には理解が出来なかった。 むしろ私に助け舟を渡す思いで放った言葉が さらに私を傷つけた。 理解者が自分だけなのなら、 唯一の理解者である自分を見失っている私は 全否定されていることになる。 勝手な被害妄想も私の得意技だ。 死にたい。 そこにそれ以上の理由もそれ以下の理由も 何も無いのに。
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