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僕がわざわざ不思議な鏡を使わなくても、優達がこうして持って来てくれるから、僕はそれで問題ないんだけどね。
どうも、盗みを犯す気にはなれないし。
そう思うものの、飛華流は優へ愛想笑いで誤魔化した。
それぞれ好きな場所でくつろぐと、飛華流達は「イナズマファイティング」でゲーム対戦を始める。
「やっぱゲーム強いなー飛華流は……でもお前、まだ始めたばっかなのに上達早くね? 俺なんて、結構前からやってんのになー」
画面内で飛華流が優を殴り飛ばし、バトルに勝利する。
現実では天地がひっくり返ってもあり得ない光景に、飛華流は面白おかしさを感じ笑みをこぼした。
その後、飛華流は永戸とも通信をし、ゲーム勝負は引き分けに終わった。
それにしても、僕が永戸と互角に戦っているシーンは、何度見たって飽きないな。
自分達のアバターで戦闘が出来るから、リアルなんだよ。
流石、エミナーがくれたイナズマフォンで遊べる魔法のゲームだ。
「永戸さんに、ゲームで張り合えたのは初めてです……宇宙ファイティングでは、大体いつも僕の負けですから」
「こっちより、俺は宇宙ファイティングをやり込んでるからな」
永戸の言葉に、飛華流はある可能性を感じた。
それなら、イナズマファイティングでは永戸を越せるかもしれない。
菓子をつまみ、飛華流は永戸達とだらだらとテレビを眺めていた。
歌番組が終わると、ニュースが流れてくる。
「一宝町に住む中学一年生、上野飛華流さんが行方不明となりました」
女性キャスターの声に、飛華流達は顔を見合わせた。
少し世間から離れている間に、何だか大騒ぎになっちゃってるな。
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