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守莉はすかさず、直志へ言う。
「ワンダちゃんもだよ? あの子も、私達の大事な子なんだから忘れないで?」
直志は、「そうだな。あの子もだ」と答えた。
そうして、二人は昔の様に無邪気に微笑み合う。
今ある幸せも、必然なモノなのだから――
飛華流は、心の温もりを感じていた。
それは、彼自身、言葉では言い表す事の出来ないものだった。
家族の愛の絆とでも、呼ぶのだろう。
穏やかな気分に包まれた飛華流は、弾力性のあるベッドの上で目覚めた。
気の抜けた顔をした彼を、整った造形をした二人の少女が覗き込んでいる。
馴染みのある少女達を前に、飛華流は弱々しい目を丸くさせた。
「エミナーさんに……凛ちゃん! 僕は、あそこで倒れたはず……え、どういうこと?」
ショートカットのミステリアスな少女は、ホッとした様な笑みを見せる。
「目が覚めて良かったです飛華流さん……皆さん戦いで負傷してしまっていたので、こちらへテレポートし、治療させて頂きました」
「み、皆さんって……まさか、利空やゾア達も居るんじゃ……」
緊張感を取り戻す飛華流へ、エミナーが言う。
「いいえ。この屋敷には、貴方とワンダさん……そして、永戸さんしか居ませんよ。なので、ご安心下さい」
「よ、良かった……それなら、あいつらはどうなったんですか?」
「シープ人の集団は、退散していった様です。ですが、利空という方は…………知らないうちに、行方をくらませたので……私にも、彼の事について説明しようがありません」
申し訳なさそうに、エミナーは眉を顰めた。
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