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ポストに入っていた手紙を一通り読み終えてから、俺はため息をつく。 「誰だよ草原とか、貝島とかってやつは」 知らない人から知らない人に宛てた手紙。きっと前に住んでいた草原という人物が郵便物の住所変更を忘れてしまったのだろう。貝島舞という人物が草原という人物のことを好きみたいだ。本来ならば人がもらった手紙なんて開けてはいけないのだけれど、ポストに入っていたものをろくに宛先の確認もせずにそのまま開けてしまった。 「明後日の19時にこの貝島ってやつが来るのか……」 現状郵便物は俺が持っているから、草原に届くことはない。貝島舞は駅前でずっと待ちぼうけになるのだろう。今から郵便局に返却して送り返しても間に合うかどうかわからない。それに、すでに郵便を一回開けてしまっているから、黙って返してしまうのはなんだかバツが悪い。そんな理由から、直接会って貝島舞に謝ることに決めた。純枝駅なら幸い職場の近くだからそこまで遠くないし、当日になったら寄ってみようと思った。
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