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その日は、4限の講義が終わったら、まっすぐに家に帰った。
「いや〜今日はすごいラッキーだったな」
突然現れた財布を眺めて笑う。
「それも、どこかから物をワープさせてくれるこのパーカーのポケットのおかげだぜ」
お腹の辺りについているポケットをポンポンと軽く叩いてみる。
「そういや、もう財布を返す締め切りの時間の17時は過ぎてるんだな」
時計を見るとすでに17時10分になっている。
「ま、どうでも良いけどな」
他に良いものは入っていないか財布の中を物色していたら、またポケットに反応があった。今度はずっしりとした何か。なんだか外の匂いが漂ってきて、恐る恐るポケットの中から外に出してみたら、その途端にボロボロと土が落ちた。
「うわっ、なんだよこれ……」
なぜかポケットの中には土に塗れた雑草が入っていた。
「ガチのゴミをポケットに入ることもあるのかよ……。何がポケットに入ってくるかこっちから選べたらいいのによ。めんどくせえな」
思いっきり舌打ちをしながら、財布の中身を全部机の上に並べて眺めていたのだった。
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