Dear my girl

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取材をしてくれた藤峰晶子(しょうこ)さんは、貼り付けた様なビジネススマイルで淡々とインタビューを進めていった。新曲の事、デビュー時の事、好きなアーティストや最近ハマっているものなど… 聞かれる内容は予め分かっていたから、用意してある言葉を話すだけ。 …そう思っていた。 それなのに気がつくと俺は笑っていて、心の底から楽しくて…彼女に引っ張り出される様にして普段話さない事まで自然に話していた。あっという間に時間が過ぎていった。 自分に向き合えた事で、夢中で曲を書いていたあの頃の気持ちを思い出せたんだ。 俺はやっぱり俺の歌を歌いたい…。 あなたが俺の事をデビュー前から知っていたと分かった時、嬉しいと思った。 また会いたいと思った。 俺の大切な曲を好きだと言ってくれたあなたと、もっと話をしてみたい…仕事相手としてじゃなくプライベートな関係で。 一瞬見せてくれたビジネスじゃない本当の笑顔を、また見たい。 必死で繋がりを探して連絡を取れる様になって、俺の想いはどんどん加速していった。 会いたい。側にいたい。 あなたを想うと、枯れ果てたんだと諦めていたフレーズが…音が…湧き出してくるんだ。
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