Dear my girl

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リリースから10日程経ち、心待ちにしていた晶子さんの出版社の取材日がきた。 まずは顔を見てきちんと謝罪をしたい。 あなたの心を乱す様な事は、もう絶対にしない。これからはシンガーソングライター宮瀬純弥として晶子さんと向き合っていきたい。 大丈夫…俺も得意なんだ、ビジネススマイル。 この先ずっと、俺は俺らしく歌っていくから…いつかまた、俺の作った歌を好きだと言って笑って欲しい。 そういう繋がりでいい。 あなたに会えるなら、それでいい。 … 「初めまして。今回担当する相原です」 ねぇ…何でだよ。 「…今回の楽曲は作詞作曲共ご自身で手がけていらっしゃいますが、初のバラードソングだそうですね」 「…浮かんできた詞を丁寧に伝わる様にと思いながら曲作りをしていたら自然とそうなりました」 晶子さんの笑顔が、仕草が、閉じた瞼の奥に浮かんでは涙と共に零れ落ちていく。 自業自得じゃねぇか。これが彼女の選択(こたえ)なんだ。しっかり笑えよ…仕事だろ? 「同じフレーズを繰り返す事で歌詞に込められている真っ直ぐな想いと感謝がより一層深まっている様に感じました。……宮瀬さんらしい素敵なバラードだと思います」 「そう…」 言葉が途切れて続かない。 分かるんだよ。相原が読んでる進行表。それ作ったの晶子さんだろ?ふざけんなよ。 ちゃんと伝わってるのにどうして…。 会いたい。側にいてよ。 溢れ出す音で、胸が潰れそうだよ…。 END
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