1-13溺れるような愛

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1-13溺れるような愛

「俺が好きになったのがフィーネで良かった、俺は本気で君を抱きたくなってしまった」 「まぁ、それじゃ。ベッドに行きましょう、私の大好きで可愛いティエル」 「ああ、フィーネ。それじゃ、俺にしっかりと捕まってくれ」 「こうやって私を大事にしてくれるティエルが大好きよ、でもどうして私を抱く気になったの?」 「君が俺自身を愛してくれているからだ、権力でも力でもない俺という悪魔を愛してくれているから」 「ふふっ、私はだってティエルが可愛くて堪らないんだもの、だからそのままの貴方でいいのよ」  ティエルは私をお姫様抱っこして、そしてティエルの部屋まで運んでくれた。それから彼はまた素敵な激しいキスをしてくれた、今までの可愛いキスとは大違いだった。ティエルが本当に私のことを欲しがっているのが分かるような激しいキスだった、私はそれだけでとても幸せでティエルとのキスに夢中になってしまった、でも私はサキュバスだからもっとティエルのことを誘惑した。 「ふふっ、私ったらティエルしかもう見えなくなりそう」 「それでいい、他の男たちなんてもう君には要らない」 「ティエルったら責任をとって、サキュバスを本気にさせたら怖いわよ」 「フィーネにされることなら、俺は何だって受け入れるさ」  そしてティエルは私の服を脱がせて、体のいろんなところにキスしてくれた。私もティエルの服を脱がせてそして同じようにキスして楽しんだ。ティエルは私のことをとても大切に抱きしめてくれた、まるで触れたら壊れそうな物を扱うように、少しじれったいくらい優しく私に触れた。ティエルの手は剣を持つ手で少しだけ皮膚が固く、その手で不器用に私の滑らかな肌を撫でるから、より一層私の情欲をかきたてられた。 「ティエルの無骨な手が私は好きよ、努力した者だけが持つ手だわ」 「フィーネ、君の手も俺と同じだ。君だって強くなるために努力した、そして俺より強くなった」 「ああ、ティエル。その素敵な手で私に触れて、私にもっと貴方を感じさせて」 「俺が強く触れたら君が壊れてしまいそうだ、それが俺には怖いからゆっくりと愛させてくれ」  私はもっとティエルに触れたかったから、積極的に彼に触れてその逞しい体を楽しんだ。ティエルには小さな古傷がたくさんあった、それだけ強くなるために努力してできた傷だった。私はそんな古傷の一つ一つにキスをして、ティエルがそんな傷で死ななかったことに感謝した。ティエルからベッドに押し倒されたまま、私は優しく愛撫を受けて体が熱くなっていくのを感じた。 「ティエルが生きててくれて良かった、私と出会ってくれて良かった」 「ああ、俺もフィーネと生きて出会えて良かった、こんなに愛おしい女性を俺は他に知らない」 「そのまま他の女性なんて知らなくて良いの、ティエルが見る女性は私だけで良いの」 「フィーネ、君も俺だけを知っていてくれ。他の男なんて見るな、俺だけを見て生きるんだ」  そしてティエルが私の体を貫いた時には、私は今までにない快感を感じていた。私は処女だったがサキュバスだったから破瓜の痛みも感じなかった、ただ私の体の中にティエルがいるのが嬉しくて、私はティエルの腕の中で体をくねらせて泣いた。とても気持ちが良くて自然に声が出た、ティエルのことが好きで、好きで、大好きで堪らなくなった。 「やぁ、気持ちいい。どうしてかしら初めてなのに、私ったら凄く気持ちが良いわ」 「君が辛い思いをするよりいい、俺だって気持ちが凄く良い。フィーネ、俺だけの恋人」 「はぁ、ああっ!! ティエル大好き、本当に大好きなの!!」 「俺も君を愛している、たとえ気持ちが同じじゃなくても、俺はもう君だけを愛している」  ティエルは私の体を貫いて激しく動いた、私はその動きについていけずにただ悲鳴を上げた。そうするとティエルは私の唇に優しくキスをしてくれた、その間も私と彼の体は繋がったままだった。私はティエルが体を動かす度に甘い声が出てしまって止まらなかった、ティエルはそんな私を情欲をこめた目で見ていた。そして一際強く私が体を貫かれた時、私ははしたない声が出てしまったが、ティエルだってもう余裕が無かった。 「ああっ!! はぁ、いや!? ああっ、気持ちがいいの!!」 「フィーネ、君はなんて可愛くて、そしていやらしいんだ」 「わっ、私だけ感じるなんて、ずるい!? ああっ!! 待って、私ったらいきそう!!」 「俺だってこんなに気持ちが良いことは初めてだ、フィーネ、そんなにしめつけられたらもう!!」  ティエルは私の中でいってしまった、私は初めて男性に抱かれてその精液を受け止めた。でもまだ足りなかった、私の体にはティエルが全く足りていなかった。だからまだ昼間だったのに私たちはそのまま夜も愛し合った、私はティエルのことがもっと好きになって彼から与えられる快感に溺れた、可愛い彼にますます夢中になった。  でも私だってサキュバスだったから、同じくらいティエルのことを気持ち良くして、そうして快感に溺れさせた。ティエルが私がいなくては生きていけなくなるように、そう私にできる限りのことをして彼を溺れるように愛した。そうそれは息もできないくらいに激しい愛し方だった、私はティエルから溺愛されて同じように彼を愛してあげた。 「大好きよ、貴方を愛しているわ。ティエル」 「俺もだ、君を愛している。フィーネ」  そうして私たちは愛し合って抱き合ったまま短い眠りについた、夢の中では子どものティエルと幼い私が笑いあう夢を見た。決してあり得ない光景なのに、子どもである私たちは楽しそうに無邪気に笑い合い、そしていつの間にか大人の姿になって抱きしめ合った。私は子どもだったティエルが愛おしくて堪らなかった、そして大人になったティエルはもっと愛おしくて手放せなかった。私はティエルが自分の手に入るなら、他のものは何も要らないとさえ思った。 「おはよう、フィーネ。そっ、その随分と俺は君に夢中だった、どこか辛いところはないか?」 「ふふっ、おはよう。ティエル、私はどこも辛くはないわ、ちょっとだけ体に違和感を感じるくらいよ」 「すっ、すまない、君のことを優しく抱くような余裕が、君に夢中になってしまったら、俺にはなくなってしまった」 「ティエルはずっと優しかったわ、私のことをとても大切にして抱いてくれた」 「そっ、それなら良い。俺は君に無理をさせたんじゃないかって心配だった」 「ティエルは相変わらず可愛いのね、私ったらティエルのことを食べちゃったのに、まだ食べたりないみたい」  そうして私たちはしばらくベッドのなかでお互いを抱きしめていた、いつまでもそうしていたかったが私たちには大事な仕事が待っていた。私は裸のままでベッドから降りたが少しふらついてしまった、そんな私を同じく裸のティエルが支えてくれた。まだティエルのものが体の中に残っているような、そんな不思議な感覚が私には残っていた、そのまま私はティエルと一緒にお風呂にも入った。 「これでティエルと私は恋人よ、もう絶対に逃がしてあげないわ」 「ああ、俺には逃げる気はないから構わない」 「本当に絶対に私から逃げ出さない? 私ったらティエルが私を閉じ込めてたいって、そう言った気持ちが今ならよく分かるわ」 「俺は今でもフィーネ、君を閉じ込めて俺だけのものにしたい。現実には不可能だが、そんな気持ちを持っているから気をつけてくれ」 「心配しなくても、私はもうティエルのものよ。でもティエルだって、もう私だけのものなのよ」 「それはとても素敵なことだ、お互いに自分だけのものか。フィーネにそう思われると、ちょっとゾクゾクっとするな」 「ふふっ、それは喜びのあまり? それとも私が怖いのかしら?」 「俺が君を怖がることはない、だが君に俺が捨てられるんじゃないかと思う、それだけが俺にとっては凄く怖いんだ」  そう言いながらティエルは浴槽の中で、私の体を強く抱きしめたいた。私だってティエルに捨てられるのは怖いことだった、そうなったら私は全ての力を使ってティエルを支配してしまうだろう、サキュバスの力を使えば相手を廃人にしてしまうことだってできた。でも私は生き生きとした可愛いティエルが好きだったから、それはティエルに見捨てられた時の最後の手段だと思った。 「ティエル、私に貴方を壊させないで。私はもしも貴方に裏切られたら、貴方のことを壊しちゃいそうなくらい愛してるの」
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