前奏曲

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あ、確かに丁寧にって念入りに言われたワケだ… 秋ちゃん宛の荷物って、年季の入ったソフトケース?に入ったギターだったのだ 優花ちゃん、それ絶対に落としちゃダメよ?秋ちゃんのなんだから! 私は今日の相方である旧知の仲な優花ちゃんに念を入れる …美優ちゃんかシイちゃんにお願いするべきだったのかもしれなくもないが…シイちゃんは描さんに料理を、美優ちゃんはハルちゃんに洗濯を、それぞれ、教わる予定があったので誘えなかった 「冴香さん誰に言ってるんですか?このあ、た、し、南田優花ちゃんがそんなチョンボするはずがないじゃありませんか〜?」 その自信の根拠が何処から湧いてくるのか教えてほしいくらい自信満々に優花ちゃんが答えを返してくれる いや、優花ちゃんだから心配なんだけどな… 「それとも冴香さんの目にはあたしがそこまでガサツで乱暴なオンナに写ってるんですか?」 …やっぱり美優ちゃんに頼むべきだったのかも… 優花ちゃん、言葉通り後生大事にギターを抱えて助手席に乗り込んで来たが… あっちこっちにぶつけそうで見ている方は胃が痛いのは紛れもない事実 本人も「おおっと」とか呟いてるし ケースの厚みから、中身がアコースティックギターっぽいのは、音楽に疎い私にだってわかる わかるからこそ! …やっぱり元看護士の美優ちゃんの方が… 「冴香さん…やっぱり美優ちゃんの方が良かった…なんて、まさか考えてませんよね?」 不意に優花ちゃんからジト目で見られた ええい、ここにもニュータイプがいるのか? そんなワケないでしょ?あまりにも美優ちゃんが家事ができなさ過ぎるから、ハルちゃんに預けて来たんだから! これは本当 お料理イマイチ、洗い物お願いするとキッチンから破壊音と悲鳴が聞こえ、お掃除してもらうとあの自動掃除機が詰まる…あの子を看護士さんから引き抜いたのは、患者さんにとっても僥倖だったのかもしれない 「そ、そうですか?何だか気分が晴れた気がしてきました!」 …優花ちゃんが単純で良かったのか悪かったのか…良家の子女とは皆こんな感じなのか… 「でも秋さん、これ以上ギター増やしてどうするんでしょうね?」 ふと優花ちゃんが呟く 基本秋ちゃんの仕事部屋には私達は立ち入らないようにしている やっぱり、顔出しNGの美人ミュージシャンの仕事部屋だから ただ扉自体が年がら年中開けっ放しなので、食事時やお風呂の誘いで覗く事はあるのだが 掃除?そんなの丸型のロボット掃除機が毎日突入してくれている!これは秋ちゃんの持ち込みだ あとは楽器用にチリ叩きとコロコロで、ご自分でやっておられる まあ、片付けが苦手らしいのは本当のようで、時々何かが崩れる音と悲鳴が、離れた私達の部屋にも聞こえては来る事が週2くらいである
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