カフェ美宙居住区にて

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カフェ美宙居住区にて

ネコ!起きてぇ!ちょっとばかり助けてほしいんだ、け、ど…あれ? あたしは元婚約者の返事を待つこと無く、逃げる隙を与えない為にだ、いきなり襖を開けた 布団が空だ… 変だな…あたしが仕事部屋に入る時にお風呂から上がって来たのと擦れ違ったから、あとは寝るだけなはず 仕方がないので心当たりの「一番」ありそうな部屋を開ける 冴香ちゃん!ネコが居ないんだけど、何処行ったか知らない…? 言い様、開いたあたし達の部屋も空だ… あ、そう言えばさっきあたしが仕事部屋で発狂した時に、ハルちゃんシイちゃんと一緒に来てくれてたような…あの甘い香りはあたしじゃなくて冴香ちゃんだと思うけど… …まさか二人で何処かシケ込んでんじゃないだろうな… もしそうなら… 許せなーい!!!!!!!! あたしは襖を片っ端から開けて行く ええい何処に隠れてるんだ、あの二人は! 「し、秋さん?な、なんすか、こんな時間に?」 「パパなら…お風呂交代の声掛けてから会ってませんよ?」 偶々開いたのがハルちゃんとシイちゃんの部屋で、本当だって、二人してあたしが読めないアルファベットの羅列が表示されたPCを布団に寝転がって覗いていたのだ さっきからのあたしの叫び声で誰を捜しているのかがわかってくれたシイちゃんが、的確な答えをくれる 冴香ちゃんも居ないのよねぇ… 「あー、この際ですから言わせてほしいんっすけど…お二人とももう少し声を抑えていただけたら、独身彼氏ナシには嬉しいんすけど…」 ん?ハルちゃんは何の話しをしている? と、シイちゃんもその隣で腕組みしてコクコクと頷いている 「そうですねぇ、ウチらはまだしも、優花ちゃんと美優ちゃんには刺激が強過ぎないでしょうか…お風呂場は音が響きますし」 そこであたしはとある事象に思い当たるフシがあり、自分でもわかるくらい顔が紅潮していた ええい、その件はネコの奴にも責任あるんだから、あいつにも言ってよ!…じゃなくて、二人が揃っていないんだってば! 「ちょっと待って下さいね…監視カメラの確認しますから…」 シイちゃんがもう一台のPCを覗き、マウスをカチカチさせながら各種画面を切り替えて行く… あのオリヴィアがよくこんな出来た娘を手放したモノだ あたしが感心している間にも監視カメラの映像は次々と変わって行き…一体幾つカメラがあるんだ、我が家の周りは… 「あ、いましたいました!」 シイちゃんがとある画面でマウスをクリックするのを止めた 「あそこです、椰子の木立抜けたトコロに石のベンチがあるじゃないですか、あそこです!」 あ、ここに初めて泊まった時に、勢いでネコにキスしちゃったあそこか… 「ししょー、後ろから冴香さんを抱き締めてる感じっすけど…あれ?ギターじゃないっすか?」 ハルちゃんの言葉に、シイちゃんが画像を拡大してくれる… う、確かに…どうもただイチャついてるわけではなさそうだ… ここであたしにしては珍しく、ニュータイプじゃないけど、閃くものがあった! 仕事部屋に戻り、だらしない顔で寝ていた優花ちゃんと美優ちゃんを叩き起こし、ハルちゃんとシイちゃんを率いて家を飛び出した!
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