中勘助さんもえぐみを出して

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中勘助さんもえぐみを出して

 皆様ごきげんよう!!    中勘助さんの『提婆達多(でーばだった)』(岩波文庫刊)を読み終えました。  『銀の匙』の作者がこんなにえぐい小説を書くとは意外でした……!    もともと悉達多(しっどはーるとは)にヘイトを溜めていた提婆達多(でーばだった)。  あるとき二つの国の交流で、耶輪陀羅(やしょーどはらー)姫と結婚できる、武芸の競技が開催されます。  提婆達多(でーばだった)は武芸、腕に覚えがあり、どちらかといえばインテリ肌でインドア派の悉達多(しっどはーるとは)には楽勝で勝てる、そう思っていました。    が、余裕を見せている間にやられ、提婆達多(でーばだった)は敗北を喫し、美しい耶輪陀羅(やしょーどはらー)姫を悉達多(しっどはーるとは)に取られてしまいます。    でも、ご存知のように悉達多(しっどはーるとは)はその後、仏陀となり、宝物も地位や権力も、さらには耶輪陀羅(やしょーどはらー)姫と姫の間にできた子供すら捨ててしまいます。    そこからが、提婆達多(でーばだった)の屈折のはじまりです。最初はただ、悉達多(しっどはーるとは)への報復のように提婆達多(でーばだった)耶輪陀羅(やしょーどはらー)姫に近づき、けっこう計算して彼女を恋の道に落とします。    だけど、耶輪陀羅(やしょーどはらー)姫の心根や愛情、ただ美しいだけではない姫と逢瀬を重ねるごとに、提婆達多(でーばだった)は本物の愛情に触れていくのです。    どんどんと、悉達多(しっどはーるとは)に何重にも負けたと思い込み、じりじりしてゆく提婆達多(でーばだった)。  しまいには、陰謀を企て、彼は悉達多(しっどはーるとは)にも近づいていき、その教えにある程度の感銘を受けるのですね。    それもまた「敗北」を感じさせること。  結局は史実のように、悉達多(しっどはーるとは)に叛旗をひるがえすわけですが……。    当然かもしれませんが、本作では悉達多(しっどはーるとは)の仏教哲学がそれほど描かれません。「彼の嫉妬は交尾している仲間を嗅ぎ出した獣の醜悪な残忍な嫉妬であった」(33P)という提婆達多(でーばだった)憎しみのテンションがえんえんと続きます。    でも、かえって提婆達多(でーばだった)のそういう我執のかたまりが、読む者の内心にある危険な種火を刺激するような作品なのですね。  これもお勧めなのですが、例によってもう品切れっぽいですね……わたしも古書で買いましたし……。でもほんとこれ傑作なのですよ!      ━☆━━━━━━━━━━━━━  ペコメありがとうございます!!  ━━━━━━━━━━━━━☆━    未季ちゃん>『カードキャプターさくら無印』と『カードキャプターさくらクリアカード編』の間にけっこうブランクがあるのですよ! あ、でも、事実上CCさくらのキャラによる『ツバサ』もありますし、ああ、無印のCCさくらはもう27年前! はひぃ、歳を取るものです;;      花果ちゃん>好き勝手、しかも乱れた読書なのに、紹介する本はとても面白そう言われて嬉しいですb  もうヨドバシに勝てるお店はないんじゃないかしら? Amazonはなにか怖いし。      倉橋さま>それが、嫌いではないのですが水木しげる先生の『ヒトラー』は持ってないし、恥ずかしながら未読なのです💦 ミュンヘン一揆、突撃隊(SA)の編成と、その制御として生まれた一般(アルゲマイネ)SS、そして武装(ヴァッフェン)SS、いろいろと面白い……というと語弊がありますが……本出てますよね。      澁谷さま>ヨドバシさんは通販が神なのですよ……! そして飛行機のプラモデル……!! 前にもウクライナメーカーのプラモデルが……と書かれてましたものね! どこらあたりまで作るのですか? ガチ塗装もするのか、ただ組み立てるのか……。プラモデルの箱絵はわたしも好きです。      珠🐰ちゃん>わたしは机の上に置けるぐらいのスピーカーとか、小さいアンプとか、コロナ禍で出かけるのも気になるときに買っちゃいました。ジャズとクラシックが活きて響きます~♪
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