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誘導尋問
皆様ごきげんよう!!
プラトンの『メノン』(岩波文庫刊)を読み終えました。
メノンがソクラテスに問う、「『徳』は人に教えられるか?」という問題を、例によってソクラテスが徹底的に問題をあらゆる角度から吟味するという内容です。
もはやソクラテスは誘導尋問レベルです。
しかも、ある程度メノンとソクラテスの議論が続くと、今度はソクラテスが……まるでメノンの問いを脱構築するように……「そもそも『徳』とはなにか、どういう状態か」という議論を始めるにいたります。
そして、「想起」という概念をソクラテスは提唱します。
人間は転生を繰り返すもの。
誰の中にも、原石のように「徳」がじつはひそんでおり、問題はそのひそんだ「徳」の「想起」にかかっているのです。
この考えは、当時のプラトンの哲学の途中であり、本書でプラトンが展開させる問題は、もっとあとの著作で「イデア論」などに結実します。
イデア……たとえば猫でいえば、猫と一言でいっても、牡牝の違い、被毛の色や模様、性格……などなど、現実にはたくさんの猫の違いがありますね。
だけども、人が「猫」という言葉で描くのは、抽象的・具体的に特権として浮かぶ「猫」のイメージなのです。
なので、「徳」といってもこれはイデアに沿って(本書ではイデアの概念はまだできておりませんが)、「徳とはなにか」というソクラテスの問いはもっとも根源的なものなのです。
『メノン』の本編は118ページぐらいしかありませんが、かなり手応えのある本です。
事実、現代思想などといっても、プラトンの思想、哲学はまだまだ完全に乗り越えられてはおりません。ニューアカなんて言葉が現代思想について語られたことがありましたが、ニューアカなどと言ってる暇があればプラトンをまずは! って本ですね。
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ペコメありがとうございます!!
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めいちゃん>いまさらかもしれないですが、『野獣死すべし』は面白かったです! キャラがまた立っていて>伊達邦彦 ああ、大藪春彦たしかに昔は角川文庫の花形だったのに、いまはわりと埋没されているのが惜しいな、と。
パソコンのほうは、挙動不審なのがメモリ交換からずっとないので……でもまだまだ様子見かしらね?
珠🐰ちゃん>高木彬光とくれば……と書きたいところですが、わたしは読んだこともないので、倉橋さんのペコメで補完してくださいましb
倉橋さま>凄いですね>『少女』誌 調べてみてびっくりです……豪華執筆陣ですよね。
で、高木彬光さんの補完ありがとうございます。乱歩の弟子というだけで凄い気がするんですが……! 『白昼の死角』は悪漢ものなのですか! ちょっと気になりますね。
澁谷さま>お父様、先生だったのですか!? そして大藪春彦さんが並ぶお父様の書棚b モデルガンいっても昔のは銃の構造とかしっかりしてて、いろいろと……だったそうですね。そこまで昔の話ではないのでしょうか?💦
未季ちゃん>プラトンはなかなか面白いです。というか、いまだに現代思想に至るまで、プラトンの呪縛は続いているというのが凄いです。
そして個人対組織の復讐もの、流行ってましたね。でもこの手の小説は銃器の描写といい、やはり大藪さんが抜きん出てた気が。
ハードボイルドは死語みたいになっちゃってますね。なんかこう単純に恰好いい男性のライフスタイル……みたいな感じで>扱われるときも。
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