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蛇守くんが肉を頬張る様が目に入る。
先程までの淡々とした表情ではなく、喜色を満面に湛えつつ、顎を大きく上下に動かしながら肉を噛み締めている。
小骨もあるだろうに、そんなことにお構いなく只管に咀嚼している。
私は何だか嬉しくなってしまい、箸をひと舐めすると再び肉を掴み上げて蛇守くんの口元へと寄せていく。
蛇守くんはやや驚いたような表情を浮かべ、目を白黒させながらせわしげに咀嚼する。
ゴクリ、と肉を呑み込んでからその眉を顰め、やや不満げにこう口にする。
「そんなに急かさないでよ狐上さん!
しっかり味わって食べたいんだよ!」と。
私は申し訳なさげにこう言葉を返す。
「ごめんごめん。
蛇守くんがあんまり美味しそうに食べてるから、つい嬉しくなっちゃってさ」と。
そして、私たちは笑い合った。
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