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しかし事態が急変したのは翌日だった。
駅の近くまで来たときだ。
メンバーの一人が忙しない様子だ。
「あれ?あれれ?おっかしいな。」
「どうした?」
身体を探る、大貴に俺は尋ねる。
「いやっ…ちょっとな…カードがあったはずなんだけど。」
「カード?」
俺は疑問に思う。眼の前で大貴はカバンを広げたりするが特にそれらしいものがない。
「さっきの駅でお前、スマホのカード使って改札通ってきてたんじゃないか?」
「いや、それとは…別でさ…。」
「なんか、大事なのか?」
「…おかしいな…ポケットにあるはずなのに…。」
大貴は必死にポケットを探る。
俺はその様子を見てふと夜分のことを思い出した。
「…大貴…。」
「何?」
「お前のダウンを昨日借りたんだけどさ。ポケットにICカードが入ってたんだ。それか?」
「え?ポケットに!?それどこにやった…。」
「いや…戻したはずだけど…。」
俺は記憶を辿るがポケットから出したまで覚えているがそこから先は正確ではない。そもそも空いてて落ちているかもしれない。
「何だよ!あるんじゃないのか?」
「なぁ?いくら入ってたんだ?それとも何か大事なのか?この辺のじゃなかったろ?」
「いや、俺さ、このロッカーに荷物をそのカードで預けたからさ。あーどうしようかな。……ちょっと電話するわ。悪い、みんな先に帰っててくれ!」
大貴の言葉にみんながぞろぞろと帰っていく。
大貴は離れたところでスマホを使い電話をかけている。
何か罪悪感が芽生えて立ち止まっていると駅員がたまたまロッカーの前を通りかかった。
「…あ、…すみません!」
「はい?」
俺は声をかけた。
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