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確かに私も、”人と違う” という自覚はありました。
けれど、そこにネガティブな感情を持ったことは一度もありませんでした。
どちらかというと、他の人にはない不思議な特技…とでもいった感覚でしょうか。
理由はわからずとも、私の紅茶を飲んだ人が少しでも元気になるのなら、私はただ嬉しかったのです。
こんなこと誰に言っても信じてもらえないだろうからと、特に打ち明けたりはしませんでしたし、ほとんどの方は気付かれませんでした。
中には、「紅茶って疲労回復に効くのね」と紅茶を絶賛し、コーヒー党から紅茶党に変わった人もいたりしました。
ごくたまに、親しい間柄の人で気付く人はいらっしゃいましたが、今日のように感謝こそされても、疎外されたり、批判されたりなんて一度もありません。
ですが………もしかしたら、それはとても幸運だったのかもしれません。
今男性が仰ったように、”人と違う” というのは、場合によっては悪目立ちもするでしょう。
私だって、もし悪意のある誰かが周りにいれば、今のように穏やかな人生は歩めていなかった可能性だってあるのでしょう。
「………私は、とても人に恵まれていたのですね」
率直な心情が、ぽろりとこぼれてしまいました。
それ以上何も語らずとも、男性は察してくださったようで、「そうかもしれませんね」と同意をくださいました。
「それに、あなたの持つ ”魔法の元” が、人に優しいもので、一般の人には判別しにくかったというのも大きいでしょう。相手の心を見抜いたり、私が先ほどお見せしたような物理的にあり得ないと一目でわかる ”魔法の元” をお持ちの方は、ご家族からも気味悪がられて育ったりすることも多いそうですよ」
ズキンと、他人事ながら心が傷を感じました。
家族から気味悪がられるなんて………
「私も、MMMに声をかけられる前はあまりいい思い出がありません。ですが、MMMで魔法を知り、”人と違う” と感じていたのは自分だけじゃないんだとわかってからは、ずいぶん救われました。ですから、自分と同じような境遇の方を一人でも救って差し上げたいんです。もちろん、あなたが今現在そういう環境にいないというのは存じております。ですが、あなたのその他人を癒す力は、魔法使い、一般の人にかかわらずきっとこの先多くの人の助けになるでしょう。当然、その中にはあなたの勇者様も含まれています。そしてMMMでは、その力をもっと高めることができるでしょう。だってMMMには、大勢の魔法使いがいるのですから。先ほどお話ししたように、我々魔法使いは、互いがそばにいるだけで、互いの力を高めることができるのです。そしてそれは間違いなく、あなたの勇者様を今よりももっと癒して差し上げられることになるでしょう。あなたにとっても、あなたの勇者様にとっても、ぜひ一度MMMにお越しいただけたらと存じますが………」
男性はふんわりと頭を傾け、私を窺ってきました。
そしてふと思い出したように尋ねられました。
「先ほど外で働く意志はないと仰いましたが、理由をお伺いしても?」
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