最期に出会えた魔法使い

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※※※ 「え?好きな人がいるの?」 学校の帰りに入院してる友達の見舞いに来ていた私は、思いもよらぬ秘密を打ち明けられ、思わず大きな声がでてしまった。 そう、こんな私に、友達ができたのだ。 ほとんど人生ではじめてと言っても過言ではないと思う。 まさに青天の霹靂とはこのことで、私にとっては前代未聞、超奇跡的な大事件だった。 市のボランティアで出会った彼女は、相も変わらず人見知り炸裂で会話らしい会話もできず、挨拶さえもろくに返せなかった私にでも優しく辛抱強く接してくれて、でも、決して無理強いもせず、無闇に明るさを振り撒かない、黙っていても一緒にいて居心地のいい、とてもとても稀有な人だった。 次第に私も戸惑いながらも少しずつ話せるようになっていって、たどたどしくもどうにか会話のキャッチボールができるようになって、やがて、私の中で彼女はただの ”知り合い” から ”友達” へと、その名前を変えたのだった。 今までも、彼女みたいに人見知りの私に根気よく付き合ってくれた人はいたけれど、どうしても打ち解けることができなかったのに……… その人達と彼女、いったい何が違ったのか、明確な理由は私自身もわからないけれど、どうしてだか彼女だけは特別だったのだ。 本当に不思議だけど。 ともかく、その彼女が数週間前に風邪をこじらせて入院してしまったので、私はほぼ毎日、学校帰りにお見舞いに来ていたのだ。 彼女は入院患者のわりには元気で、私は彼女が個室なのをいいことに、毎日面会時間ぎりぎりまでおしゃべりをして過ごしていた。 話題は、その日にあったこ出来事や、見たテレビ番組、読んだ本のこと、時事ニュースにお互いの好きなことや興味を持ったこと………まあ、他愛もないことと言えばそうだけど、別に友達との会話に刺激なんか求めてないので、私にはじゅうぶんだった。 けれど。 今日は彼女からはじめて、恋愛関係の話が聞こえてきたのである。 「うーん、好きっていうよりも、憧れの人、かな?」 「ねえねえどんな人?」 友達初心者の私には、当然友達との恋愛トークもはじめてで、これは興奮せずにはいられない。 いつも優しく大人な彼女は私の興奮にクスリと笑い、その相手とのエピソードを教えてくれた。 「私ね、子供の頃から体が弱かったから、何度も入院したことがあってね。でも、両親は仕事が忙しくて、そうしょっちゅう私に付き添ってはいられなかったの。学校の同級生達も最初はお見舞いに来てくれても、何度も入院してるうちにそれも少なくなっていってね、段々と私一人病室で過ごす時間が長くなっていったの。彼と出会ったのはそんな時よ。偶々(たまたま)どなたかのお見舞いに来ていた彼と廊下ですれ違ったの。彼は可愛らしい花束を持っていてね、私、すれ違いざまに思わず『可愛い…』って言っちゃったのよ。そうしたら彼がくるりと私に振り向いたの。それがはじめての出会いよ」 まるで映画のワンシーンのような光景が浮かんできて、私は素直に「すごい!ロマンチック!」と拍手した。
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