あのひかる星は

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あのひかる星は

夕焼けの美しい日です。土手を走る自転車も空へと向かう鳥たちもそのシルエットを濃くしオレンジから藍色に染まる雲のない夕空のアクセントのよう。誰がどこを撮っても美しい風景として切り取れるそんな夕焼けでございました。 そして今ワタクシの頭上には満点の星空でございます。昴もくっきりと天の川はより明るく真っ暗な山頂に広がる夜空には流れ星の演出しきり。吸い込まれるかの浮遊感に目眩し、いっそ草むらに転がろうかと気迷いを起こします。想像よりずっとずっと美しい秋の、冬の始まりの星空にワタクシが知る正座の少なさにもどかしくなります。 オリオンのベルギデウス、白いシリウス、赤いプロキオン、天の川に横たわる三角形から街中では見えにくいへび座までの空間にそれらより一等明るい光が瞬いております。どちらさま?? 木星か土星、と自称天体写真家の友人が気のない返しをいたします。いやいや木星て?ましてや土星?何言ってんの?ワタクシ騙されませんわよ?え?あの位置に普段は星は無いだろう?それならあれは惑星?この季節この辺りのこの時間なら木星か土星??むむ。なんだかそれっぽいこと言いましたわね。似非星空解説者のくせに。で?どっちなの?? 友人は、自分で調べなさいな、と。自分で調べないと星には近づけないよ、と。一年に一つずつ星座を覚える約束を違えている四十年来のワタクシは沈黙するわ。流れ星が降っていく真夜中の夜空を見上げ、毎回思うの。星座がわかるカッコイイオトナになりたいってね。
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