かまいたちを捕まえろ

1/1
前へ
/21ページ
次へ

かまいたちを捕まえろ

 PCを操作していて、ふと見ると、左手の親指の付け根に見知らぬ切り傷ができていた。  そんな時は、『ああ、また【かまいたち】にやられた』と思う。  私は、大量の紙類を扱うことがある。  どんなに気を付けていても、紙を揃える時などに、紙の切り口に対して手を横にスライドさせてしまい、指先を切ってしまう。  紙で肌を切った経験がある方なら、分かってもらえると思う。紙で切った場合、傷口は浅いし、血はほとんど出ないのに、何故だかひどく痛い。ズキズキと痛む。  手指はどうしてもよく動かすため、その度に「痛っ」となるのが地味にうっとうしい。  でもまあ、これは自分でも、失敗したなぁと自覚している傷なので、まだいい。  どちらかというと、自分の知らないうちにできた傷の方が厄介だ。  何もした記憶がないのに傷があり、しかもうっとうしく痛む。  で、冒頭に書いた通り、【かまいたち】の登場となる。  部屋の隅のどこかに【かまいたち】が潜んでいて、こちらの隙を窺がっている。で、私の気が付かないうちに、さっとその鎌で切って、去っていく。  という妄想をして、ちょっとだけ留飲を下げる。【かまいたち】なら、仕方がないなぁ、と。  ちなみに、私の元に現れるのは、両前足が鎌で目がくりくりした可愛い【かまいたち】。尻尾も長いのがいい。  いつか捕まえて、そのモフモフを撫でまわしてやる、と思いながら傷を眺める。  ということを考えていたら、河川敷を散歩する私の目の前を、イタチが走り去った。可愛い。更に【かまいたち】を捕まえるという決心を強くした。  【かまいたち】、首尾よく捕まえることが出来たら、また報告します。  皆様のそばにも、【かまいたち】が現れましたら、どうぞお知らせ下さい。また、捕獲報告をお待ちしております(笑)。 2042年2月4日
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加