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 わたしは先生に訴えたが、学校は何もしてくれなかった。  否、形ばかりの調査は行われたが、結局、解決には至らなかった。  誰一人として、透がいじめられていたことを証言してくれる人がいなかったからだ。  男達の好意を一身に集めるわたしは、女生徒からの受けがよくなかった。  わたしが普段から彼女達の話に耳を傾け、歩み寄る姿勢を示していればよかったのだろうが、そんな真似は死んでも嫌だった。  そもそも、わたしは意味もなく群れるのが嫌いだった。  わたしは女性徒の中で、明らかに浮いており、彼女達の協力など得られるはずもなかった。  また、見て見ぬふりをしていた輩は、自分達に被害が及ぶことを恐れた。  結果、皆が皆、だんまりを決め込んだ。  学校は、いじめの調査は行ったが、確証は得られなかったとして調査を打ち切った。  わたしは一日も早く卒業する日が来ることを願いながら、そんな糞みたいな中学校に三年間通った。
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