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 ああ、また夢を見ているのか、わたしは思った。  だから、安易に喜んだりはしなかった。  だって、夢から覚めた時に絶望に襲われることが分かっていたから。  だけど、心と違って身体は素直に反応した。  わたしは透に駆け寄り、思いきり跳び着いた。 「透!」 「琴子」  わたし達は固く抱き合って、長い長いキスを交わした。  わたしの瞳から熱いものが溢れ出す。  透!透!透!透!透!透!透!……  わたしは心の中で、何度も何度も透の名前を叫んだ。叫びながら、わたしは透の頬に両手を添えて、貪るように激しい口づけを交わした。  わたしの本能が、そこにいる透が本物だと告げていた。 「バカ、バカ、バカ、バカ、バカ、バカ、バカ、バカ、バカ―――――――!!」  わたしは唇を離すと、透の胸を何度も叩いた。  透は、わたしの気が済むまで、わたしの拳をその胸でじっと受けとめた。  どれくらいの時間、わたしは透の胸を叩いていたのだろう。  いつしか力尽きたわたしは、透の足元にしゃがみ込むと、その両足にしがみついて、おいおいと泣いた。 「琴子、ごめん」  透は、そんなわたしの両肩に手を添えると、しゃがみ込んで、わたしを包み込むように優しく抱きしめた。
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