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9
わたしが、透がいじめられていることに気付いたのは、随分経ってからのことで、その時には、もう、透の心はボロボロだった。
「透」
「……」
「透!」
「ああ……琴子。何?」
明らかに様子がおかしかった。
「何があった?話せ」
「……」
わたしが問い詰めても、透は何も話さなかった。
なぜなら、原因は、わたしだったから。
正直、わたしはもてた。母譲りの美しい容姿のおかげで。
しかし、この性格である。
わたしは、男達の告白をばっさばっさと切り捨てた。
結果、男達の嫉妬心は透に向かった。
「何で、おまえごときが琴子と付き合ってんだよ」
手を変え品を変え、男達は透をいたぶった。
ある時は暴力を振るい、またある時は物を隠すなどして、肉体的にも、精神的にも、透を追い込んでいった。
透は学校に来られなくなり、家に引きこもるようになってしまった。
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