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透が死んだ。
自殺だった。
透はわたしの幼なじみで恋人だ。
あまりの苦しみに、気がおかしくなりそうだった。
半身を失うということは、こういうことかと思い知った。
ずっと一緒だと思い込んでいた。
なのに……
これは罰だ。
わたしが今までやってきたことに対する。
神様はわたしから一番大切なものを奪った。
わたしは、その日以来、上手く息ができない。
吸っても吸っても苦しい。
苦しいんだ。
でも……
どうでもよかった。
いっそ、呼吸なんて止まってしまえばいいのに。
そうすれば、あいつのところに行けるのに。
ツ――
熱いものが一筋、頬を伝う。
まだ流すことができるんだ。
そのことに驚く。
もう、散々泣いた。
散々泣いた。
散々泣いたのに……
いつのまにか、また、わたしは声を上げて泣いていた。
わたしは、敷布団に両手の爪を立てて、かきむしる。
バタバタさせた足が、掛布団を跳ね上げる。
丸めた背中が、わなわなと震える。
だけど……何も変わらない。
この苦しさは、この悲しみは、どこへもいってくれない。
そして、わたしは泣き疲れて、また眠りに落ちた。
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