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第一話 朝食はステーキに限る
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七森わたるは朝からステーキを焼いている。ここ、七森家では、以前は焼き魚やハムエッグなどのメニューを朝食の定番としていた。それがほぼ毎朝ステーキを食べるようになったのは、およそ二週間前からである。
キッチンはジュージューと肉の焼ける音がしていた。わたるがフライパンの上のステーキ肉から目を離さずにいる、ちょうどその時である。
「ぎゃあああああっ!!」
キッチンと同じ空間のダイニングから、断末魔のような叫び声が聞こえてきた。それはこの家で同居する小國泰然の声である。
「なっ、何事!?」
肉はまだ生焼けの状態だけれど、わたるはすぐにガスコンロの火を止めて、泰然の元へと向かう。
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