第一話 朝食はステーキに限る

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 3  高校一年生のわたるは、いつも歩いて学校まで向かう。泰然もそれについていく。彼も生きていたら、わたると同じ高校に通っているはずだった。  わたるが登下校する時は、泰然もいつも一緒だ。学校だと、彼の姿はわたる以外の人間には見えていないので、なにを着ても校則違反にはならない。でも、学校に通うという意識から、必ず制服を着ている。泰然も望んで入学式の前に死んだわけでもないので、学校生徒の気分でいたいのだろう。  春のそよ風が吹くたび、わたるの長い髪がなびく。髪の色が赤みがっているのは生まれつきだ。 「わたるに質問。今、高校生の俺たちが積極的に食べるべきものはなんだと思う?」  外に出ると、泰然の髪の色が黄みがかった茶色なことがはっきりとわかる。わたるは泰然をうとましく思うも、自分と同じ黒髪でないことには親しみをおぼえていた。 「えー、成長期に必要な栄養素がとれる食べ物とか?」
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