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「ブー、はずれ。正解は中高生の間で流行している食べ物や飲み物。ほら、この国は海外が発祥だったり、海外の伝統的なスイーツやドリンクなんかのブームが定期的にめぐって来るだろ?」
「なによ、それ」
わたるはそっぽを向く。
「だって、それを食べたら、手っ取り早く青春を謳歌することができるんだぜ。自分が大人になって、十代を振り返った時、当時はあの食べ物が流行っていたな、あの時食べたな、って」
「青春なんて、私は興味ないな」
「なにをおろかな! 青春は今でしか味わえないんだぜ! 大人になって青春を謳歌したいって思っても、もうできないんだぜ!」
わたるは泰然の話に全く心を動かされない。彼女にとって高校生活とは、大学に進学するまでの勉強時間でしかなかった。だから、友人や恋人が欲しいとも、だれかと思い出を作りたいとも思っていない。むしろ人付き合いは学業の妨げとすら感じていた。
「ん? 待てよ――」
ふと、思い立ったわたるは立ち止まる。
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