第一話 朝食はステーキに限る

2/21
前へ
/345ページ
次へ
「小國くん! どうしたの?」 「ああ、またやってしまったよ。俺はとんでもない罪をおかした」  ダイニングに座る泰然の目の前には、ふたが中途半端に開いたカップラーメンが置いてある。わたるは彼の身に危険がなかったことにほっとするも、彼が悲鳴を上げたのは実にくだらない理由な気がして、近寄ったのを後悔した。 「見て。このスープ、『ふたの上で温めてください』って書いてあるのに、それを見落として、温めずに放置してしまった。温めなくていい粉末スープに慣れているから、たまにやってしまうんだよなあ」 「もう、それくらいのことで大きな声を出さないでよ、大げさなんだから。作り方を少し間違えたくらいで、食べられないってことはないでしょ」
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加