第二話 青春に流行りの食べ物あり

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「あの……その……」  わたると着ている制服とは違うので、どこの高校の生徒だろう、と思いながら、わたるは彼女からの返事を待った。 「えっと、私……」  女子高生は内気な性格のようだ。わたると泰然は彼女が話すまで静かに見守る。 「や、やっぱりいいです!」  しかし、女子高生はわたるたちが来た方向とは反対の方向に向かって、いきおいよく走っていく。 「あっ、ちょっ、ちょっと!」  この二週間で何人かの食霊と出会ってきたが、逃げられたのは初めてだった。わたるは思わず彼女を追う。 「待った! 今追いかけると学校に遅刻するぞ。わたるは無遅刻無欠席を目指しているんだろう?」  しかし、泰然がわたるの足を止めようとする。 「でも、今追えば追いつくかも」 「あの人とはまたすぐに会えるよ」 「それは無理だよ。どこの誰かも分からないし、ここで逃したら、もう見つけようがないよ」
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