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「あの……その……」
わたると着ている制服とは違うので、どこの高校の生徒だろう、と思いながら、わたるは彼女からの返事を待った。
「えっと、私……」
女子高生は内気な性格のようだ。わたると泰然は彼女が話すまで静かに見守る。
「や、やっぱりいいです!」
しかし、女子高生はわたるたちが来た方向とは反対の方向に向かって、いきおいよく走っていく。
「あっ、ちょっ、ちょっと!」
この二週間で何人かの食霊と出会ってきたが、逃げられたのは初めてだった。わたるは思わず彼女を追う。
「待った! 今追いかけると学校に遅刻するぞ。わたるは無遅刻無欠席を目指しているんだろう?」
しかし、泰然がわたるの足を止めようとする。
「でも、今追えば追いつくかも」
「あの人とはまたすぐに会えるよ」
「それは無理だよ。どこの誰かも分からないし、ここで逃したら、もう見つけようがないよ」
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