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「そうだけれど、正しい手順で作ることができなかったという後悔が、おいしさを損なわせるんだ」
「それと、朝食の前にカップラーメンを食べないでよ。せっかくのステーキが入らなくなるでしょう?」
「ああ、だいじょうぶ。その分の胃のキャパシティは残しておくから。それに、ステーキは別腹って言うだろ?」
泰然がへこんだ腹をぽんと叩く。自分よりずっと食べるのに、人生で一度も太ったことがないというのがうらやましいと、わたるは彼の体型を見て思う。
「言わない。聞いたこともない」
わたるは無駄食いするくらいなら朝食作りを手伝ってよ、と泰然に言おうとしたが、料理が全然できない彼にはなにもしないでくれる方がかえって助かると考え直し、それ以上は言わなかった。
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