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「目をつむって袋から最初に取ったチョコレートが、好きな人の誕生石だったらその人と両思いになるというジンクスがあるらしい。それもあって十代の女の子の間で流行っているんだと」
泰然が説明する。
「わあ、すてき――でも、私、好きな人がいない」
佐英梨が肩を落とす。
「俺もいないけれど、せっかくだからやってみよう」
泰然が目を閉じ、袋からチョコレートを一個取った。
「トルマリン――十月の誕生石か」
「えっ」
わたるは泰然の言葉に反応する。彼女は十月二十四日生まれだ。
泰然がそのチョコレートを取ったのはたまたまだよね、と自分に言い聞かせつつも、十二分の一の確率に動揺する。
「私はダイヤモンドみたい」
佐英梨もジンクスどおりにチョコレートを一個取った。
「わたるちゃんもやってみて」
「私も好きな人はいないよ」
「今はいなくても、これから好きになる人の誕生石かもしれない」
佐英梨はなぜか泰然をちらっと見た。
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