第二話 青春に流行りの食べ物あり

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 三人はそれぞれバナナに割りばしを刺し、湯せんで溶かした板チョコレートにつける。思い思いにトッピングした後、冷蔵庫でしばらく冷やし固めると、高級チョコバナナは完成した。 「すっごくおいしい! きっと、お店で売っているのよりもおいしいよ!」  佐英梨は自作の味に感激する。 「佐英梨ちゃん、俺たちの前に現れてくれてありがとうな。佐英梨ちゃんと出会わなかったら、高級チョコバナナを知ることも、作ることも、食べることもなかった」  泰然が高級チョコバナナをほおばりながら言う。まじめなことを言ってもふざけているように見えるのが彼らしい、とわたるは思った。 「ふたりは私にとって最高の友だちだよ」  佐英梨の目に涙が浮かぶ。 「わたるちゃん、最後にちょっといいかな」 「なに?」
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