第一話 朝食はステーキに限る

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 2  わたるは肉を焼き終えると、人数分の料理をダイニングテーブルに並べる。ステーキを食べる時はいつもごはん、サラダ、スープがセットだ。 「二人とも、おはよう。今日のごはんもおいしそうだなあ」  そのタイミングで、わたるの父親である修一(しゅういち)がダイニングへやって来た。七森家はいつもこの三人で食卓をかこんでいる。  修一の職業は警察官。正義感の強い性格で、娘のわたるも「困っている人には手を差し伸べなさい」と教えられてきた。わたるは父のその教えをずっと守っている。泰然との同居を面倒に思いながらも、成仏できない彼を見捨てないのは、父と、そして自分の信念に背くこととなるからであった。  修一もまた幽霊が視える体質だ。もとい、わたるに不思議な能力があるのは、父親ゆずりなのだろう。
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