第一話 朝食はステーキに限る

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「お母さん、今度またビデオ通話しようって」  修一がわたるに言った。七森家は父、母、娘の三人家族なのにここに母親の容子(ようこ)がいないのは、容子だけ仕事の関係によりアメリカで暮らしているからである。 「うん」  容子が渡米したのは一年前、日本に一時帰国したのは半年前。ずっと会っていない母とコミュニケーションが取れると思うと、わたるはちょっぴり笑顔になった。 「それと、近々向こうならではのプレゼントを贈るって」 「ええっ! プレゼント! どうせなら向こうのお菓子がいいなあ」  泰然が「プレゼント」という言葉に反応して、七森親子の会話に割って入る。 「泰ちゃんがそう言うと思って、お菓子を頼んでおいたよ」  修一が言った。彼は居候のことを『泰ちゃん』と呼んでいる。
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