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三人は同時に「いただきます」を言った後、食事に手をつける。
「うーん、最高っ……! 肉が舌の上でとろけるっ……!」
泰然がステーキをひと口食べた後で言った。
「カップラーメンを食べたうえで、ステーキの味にそこまで感動できるなんて」
わたるは泰然の食欲旺盛さにある意味では感心する。
「朝から脂っこいものを食べる、これがいいんだよねー」
修一は泰然が要求したこの食生活に賛成のようだった。ふたりは食の好みが似ているようだ。それもあり、修一は泰然の存在を全く嫌に思わず、むしろ彼との暮らしを気に入っていた。
もはや修一にとって泰然は息子のようでもあるが、泰然の両親は生きている。でも、彼は実の家族に会おうとしない。会っても、幽霊が視えない両親は息子に気がつくことがないからだ。人一倍明るい性格の泰然だが、そんな状態で家に帰っても辛いだけだから帰ろうとしないのかもしれないと、わたるはおしはかっている。
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