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序章
『……ああっ……………んっ……はあっ』
パソコンのスピーカーから流れてくる卑猥な声と映像ををオカズに、私は無心に、下着の上から陰核を中指で撫で続ける。
上はTシャツを着て、下はショーツだけ、と何とも情けない格好。
今、私が見ている動画は、女性向けのAVサイト。男優が、人気女優に口淫をしているシーンが流れている。
ピチャピチャと花芽を舐める音、ジュルジュルと淫水を吸い上げる音が、私の指先を更に加速させる。
(ヤバい……すごく…………気持ちいいん……だけど……!)
下着は既に濡れて、淫靡なシミが広がっている。私は堪らず、下着の中に手を入れ、ヌルヌルになった粒を撫で回す。
画面には、女優が身体を捩らせながら恍惚とした表情で喘ぎ続け、男優は膣口に指を入れて律動させながら、陰核を舌先で嬲り続けている。
『ああぁっ……気持ち……いっいいぃ……んはぁっ……』
流れ続ける淫らな映像、いやらしい音に、私の背中に快楽の波が襲い掛かった。
女優は、そろそろ絶頂を迎えそうなのか、顔を愉悦に歪ませ、イく、イっちゃう! と声を上げながら口淫を受け続けている。
それに煽られるかのように、私のソコもピチュピチュと音を大きく奏で、高みに向かって駆け抜けるように、指先の動きを激しくさせる。
「っ…………はあぁっ……んっ」
パソコンモニターの向こう側にいる女優が、身体を硬直させた後に弛緩すると同時に、私も小さく声を上げて達した。
しばし呆然としながら、乱れた呼吸を整える。
いつしか動画は場面が切り替わり、男優が四つん這いになった女優を背後から猛スピードで貫き続けている。
ふうっと大きくため息を吐いた後、私は停止ボタンを押し、動画を終了させた。
溜まった欲を吐き出し、少しの満足感と虚しさを抱えながら、私は傍にあった部屋着のスウェットズボンを履く。
「二十五にもなった女が、一体何やってるんだか……」
やり場のない独り言が、静かな自室にやけに響く。イってしまうと、冷静になる自分に、心の中で苦笑する。
そろそろ就寝しようか、と考えた私は、マウスを手に取り、パソコンの画面に再び向けると、そこには『エッチな友達と繋がりたいな♪』と書かれてある広告が映し出されていた。
「それにしても、こういうエロ広告って、何か毒々しいよね……」
ここのところ、本当に独り言が多いと自覚している。けど、何となく広告に惹かれるものがあり、私は恐る恐るクリックしてみた。
どうやら、エロ系のSNSのようだ。
いつも口淫されている動画を見ながら自慰している私は、実際にされたら、どんなに気持ちいいだろう、と密かに思っている。
セックスの経験は一応あるけど、セックスでイった事はない。過去に一人しか付き合った事がない、というのもあると思うけど、身体を交えるよりも、自分で弄った方が気持ちいいから。
自分が感じる場所は、私がいちばん良く知っている。
当時の彼氏は、口淫が苦手だったのか、しない人だったのを、不意に思い出す。
今は彼氏もいないし、出会いもない。ならいっその事、こういう所で舐めてくれるだけの人を探してみようか、などと考える。
「でも、絶対にセックスさせろ、とか言われて、無理矢理させられちゃいそうだよね」
危険だというのも、もちろんわかっている。でも、そろそろ自慰行為から、男の人にアソコを舐められてみたい。
私は会員登録し、プロフィール入力画面を開き、文字を打ち込んでいく。
『セックスは無しの、クンニだけの関係を希望しています。当方二十五歳。お相手の方は、三十五歳くらいまでの年上の方を希望。東京都○○市周辺でお会いできる方からの連絡をお待ちしています』
アイコンは、敢えて画像を使わなかった。画像を載せたとしても、誰も見やしないだろうし。
事務的なプロフ文章だし、どうせ来るわけがない、と思いつつ、私はパソコンを閉じて、ベッドに潜り込んだ。
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