②婚約破棄連続殺人事件。

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あと、そうね。 「あの――――……、王太子殿下」 そろそろハッキリとさせなければ。 「何かね、ローズサファイア断罪され公爵令嬢」 「ひとの家名に変なものつけないでください。それから、ピン()クォーツ男爵令嬢じゃなくて、ピン()ォーツ男爵令嬢ですよ!王太子殿下!」 あれ、問題はここではなかったかも知れないが……しかし、名前は重要だ。いきなり名前が変わったら困るじゃない。 「違う、故ピン()クォーツ男爵令嬢だ」 粘るわね、アンタも……! 「そこじゃねぇよ……っ!そこじゃないけど故ピン()ォーツ男爵令嬢です!故ピン()ォーツ男爵令嬢故ピン()ォーツ男爵令嬢故ピン()ォーツ男爵令嬢!リピーツアフタミーっ!」 こうなりゃやけよ!何のやけか分からないけど……! 「……故ピン()ォーツ男爵令嬢うぅぅ……っ!!」 「ザッツゥライッ!エクセレンツッ!!」 や、やりきったぁ~~っ! 「ふ……、私は王太子なのだから、当然だ」 カッコつけて前髪をサッと後ろに流す王太子殿下。しかしだな。 「王太子なのだから当然なら、貴族の家名間違えんじゃねーよ」 将来王位継いだら自分の臣下になるのよ分かってる……っ!? 「……王太子だって、時には間違う。そんなおちゃめなところが、国民たちからの人気、支持率につながるのだ」 ドテッ。ポジティブすぎやしない!? あ、そうよ。間違いと言えばだ……! 「ねぇ、あなたその前にものっそいとこ間違っているけど……おちゃめさんにも限度があるのよ。おちゃめだからモテるってわけじゃないわよ。ほんと男子ってバカね。カッコつけちゃって。許されるのは激辛シシカバブ頼んだら間違って極辛シシカバブ買って味見しちゃって口から火を吹くレベルまでよ。分かってる?」 「辛いものは好きだぞ!」 好きなんかい……! 「極辛でもですか!」 激辛の先の、辛すぎてもはや無の境地!口の中の痛覚すら死ぬ無の境地……っ! 「無論……!私はこのグリーンエメラルド王国の王太子。我が国の国民たちが愛する庶民グルメも愛する王太子である!」 いや……愛……?とはまた違うような……。 しかし横からすっと差し出されたそれに目を見開く。 「あ、ここに極辛シシカバブあるよ――――っ!」 「何で持ってんのよ、トール。しかも極辛っ!」 トールの手にはどう見ても極辛とわかる串が握られていた。 「こっちに来る前に、道草して買って来たのが功を奏したよね~~!」 トールがこれ見よがしにじゃーんと掲げてくる、もはや全てを赤に染められたシシカバブ。うぅ~~、近付けられただけで目が痛い~~っ! 「……いや、そもそも現場に辿り着く前に道草っていいんかいっ!」 「魔法解剖医は多忙だから、食べ走りできるファストフードは欠かせねぇっ!」 「食べ歩きならまだしも食べ走り――――っ!?危ないでしょうが串モノで!!」 ※みなさんは決して真似しないでください。
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