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①婚約破棄殺人事件。
――――――王城・パーティーホール
「ビアンカ・ローズサファイア公爵令嬢!この私、グリーンエメラルド王国王太子ベリル・グリーンエメラルドは貴様との婚約を破棄する!」
そう豪語しながら告げたのは、金髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ絶世の美人……なのだが。
「ちょぉ……っ、ちょっと待ってくださる!?」
これはお決まりの異世界転生……であることをたった今思い出した。元地球人日本人なド庶民。でも今生ではなんと公爵令嬢よ!そう……公爵令嬢なのだ。だから私はいかにもーな婚約破棄断罪される悪役令嬢・ビアンカ・ローズサファイア。
「で……でもまず言わせて欲しいのです!」
こ、これだけは……!
「フン……っ、何をだ。また下らない嫉妬の妄言ではあるまいな」
カーッ!ムーカッつく~~っ!顔だけはいいのが特に嫌。いや、王太子の遺伝元の王妃さまは女神なようだと思ってるけれど。
「何でグリーンエメラルドなのよ!色合い的には違うけれども色の種類的には被ると思うんだけど!むしろエメラルドグリーンじゃあかんかったんかいっ!!」
「グリーンエメラルド王国とは、『宝石、出づる国』と言う意味だ。エメラルドグリーンでは断じてない……!しかし今日の君は、よく分からないことを言ってくるな……」
「……ぐっ」
ツッコまれてしまった~~!
けど、気になるじゃないグリーンエメラルドおぉぉっ!王太子は王妃さまの血で瞳はエメラルドグリーンだけど、この国の王族の瞳は元々は青なのよ……!そこもツッコミどころ~~っ!
「よく分からないと言えば……その、私もどうして王太子殿下から婚約破棄されなくてはならないのか全く分からないわ!」
「何故……だと!?決まっているではないか!そこでうつ伏せに倒れている聖女・アマリリス・ピンクォーツ男爵令嬢の死体が全てを物語っている……!」
「そ……それは……っ」
私は王太子が指差した先を見やる。そこには……ピンク色の髪を持ち、ドレスを着飾ったひとりの令嬢が……倒れていた。そう……倒れて、ピクリとも動かない。
「まさか……本当に死んでいるとでもいうの?」
この子……明らかにヒロインよね?性質的にも見た目的にもヒロインちゃんよね!?しかも聖女……っ!この選ばれし感満載な設定てんこ盛り~~っ!なのに、何で!登場したしょっぱなから死んでるのよおぉぉ~~~~っ!それも私のすぐそばでぇ……っ!!
普通は王太子殿下がぎゅっと抱き締めているもんじゃないの……!?何でもう死んでるのよ状況がおかしいいぃぃっ!!!
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