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警察署の外に出て、一般道を少し歩き、渚さんが停めたタクシーに乗り込んだ。
私の頭の中は軽くプチパニック。
運転手に行き先を告げた渚さんの声が遠くに聞こえる。
私の名前を呼んだのは、ママだった。
もしかして、私を探す為に警察署に来ていたの?
だとしたなら、嫌だ。
あの家に帰りたくはない。
渚さんに腕を掴まれた私は『着いた』と言う言葉で、ハッとしてタクシーを降りた。
エントランスを通り、エレベーターに乗った時、『母親か?』と聞かれ頷く。
今頃、柴田先生がどんな会話をしているのかを知らない。
だけど分かる。
私に不利になる事は柴田先生は話さないと。
考える私を連れて部屋に入った渚さん。
一気に力が抜け、玄関でへたり込んだ私。
あの人が探す訳がない。
今まで夜居なくても探した事がないのだから。
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