先の見えないトンネル

11/18
297人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
『どうなりましたか?』と渚さんの言葉が聞こえた時には、誰かと電話で話していた渚さん。 多分、柴田先生だと思う。 『分かりました。暫くは大学には行きません』 そう言った後、返事をするだけの渚さんは、通話を終了させた。 「柴田先生に見張りがついた」 「えっ?」 「君の母親が捜索願を出したらしい」 「それだけで警察は動かないのでは? それに私の写真はないはず」 「だから、柴田先生を見張っていれば君が現れると思っているのだろう」 「もしかして、トー横の件?」 「その件は柴田先生と僕の協力なしでは、解決しないだろう」 「これからどうなるの?」 「君だけは必ず僕が守る。だから余計な事をするな」 その会話の後『うん』と返事をしながら思った。 今になって何故、ママが私を探す気になったのだろうかと。
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!