つるっぱげ獣人王子と毛むくじゃら王女

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つるっぱげ獣人王子と毛むくじゃら王女

 つるっぱげの獣人王子がいました。獣人たちが住むライオニア王国の、そのつるっぱげの獣人王子はシャデウスといい、頭からつま先まで毛が一本もない事で知られています。    彼は強い力と知恵を持ちながらも、その特異な外見から人々に不気味がられ、遠ざけられる存在でした。彼は常に孤独感と劣等感に苛まれていました。  一方、隣国ヴェリスタン王国には毛むくじゃらの王女がいました。毛むくじゃらの王女はレイラといい、人間でありながら、頭からつま先まで毛むくじゃらの姿で知られています。その姿は周囲から恐れられ、冷遇されることも多く、彼女もまた自分に強いコンプレックスを抱いていました。  そんな二人の住む国はお互い仲が悪く、昔からいがみ合ってばかりいました。ライオニア王国の獣人たちは人間を高慢な存在とみなし、ヴェリスタン王国の人々は獣人を野蛮な存在とみなしていたのです。  そして、シャデウスとレイラが生まれてから、更に両国の関係が悪化しました。獣人たちは人間が呪いをかけたのでつるっぱげ王子が生まれたのだと、人間たちは獣人が呪いをかけたので毛むくじゃら王女が生まれたのだと思ったのです。
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