物書きのススメ

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物書きのススメ

 スナックまいにようこそ(「カノッサの屈辱」の仲谷昇っぽく。この番組、ご存知のかたいらっしゃいますか?)。  書いてらっしゃるかたにはご理解いただけるかと思いますが、よく周辺から「小説なんか書けてすごーい」と言っていただきます。もしかすると、私は読み専だというかたも、そう思ってくださるのかも。でも私は決して、小中学生の頃から読み書きする子どもではなかったです。夏休みの読書感想文は大嫌いで、妹は高校生の頃に一度賞を貰っていますから、妹のほうが文章は上手いかもしれません。  ただ、物心ついたときから妄想は激しかったと思います。いろいろパターンがありましたが、例えば実家をお城と設定して、妹と私は姫で両親は召使い、等々……もし私に娘がいたら、ちょっと心配になるレベルだったかも。  私は10年ほど副業その2として、小学生から高校生の作文や小論文の添削のアルバイトをしています。最近のお子さまは文章力を試験で要求されるためだと思いますが、コロナ禍も関係無く、この内職は私の収入源であり続けています。  同じ子の文章をずっと添削することはありません。しかしたまに、名前が珍しかったり、通信教育の課題なら住所が記憶に残っていたりして、あっこの子、前も見たな……となることがあります。小学校中学年から高学年にかけてならきっと親御さんも熱心で(ちなみに教材費も安くはありません)、お子さんに「出したの?」と発破をかけてらっしゃると思うので、その子たちはコンスタントに課題を提出しているわけですね。すると! 確実に文章力が上がっているのです! もちろん個人差はありますが、前より酷いということは、まずありません。めちゃくちゃ生き生きとした体験作文を書けるようになっている、「目覚めた」っぽい子もいます。  つまり、文章って楽器の練習と一緒で、ある程度のレベルまでは、エクササイズです。訓練で、書けるようになります。しかも楽器と違って、ちょっとサボっても、がくんと技術が下がることは無いと思います。  今や投稿サイトが乱立し、一般人が何か書いたらばっと読み手がつき、賞を獲れたり、何処かの編集さんから声がかかったりする時代です。日本は識字率の高い国なので、皆書くための最低条件を備えています。「何の取り柄も趣味もないし……」というかたは、表現方法のひとつとして、物書きをお勧めするのですが。単語や節ではなく、文です。メールやSNSで書いているのより、もうちょっと長いやつです。
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