サーシャの日常

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まず、容姿。 一目で「金持ちのご令嬢!」というわかる華やかさ。つり目気味の意志の強そうな目。 地味で冴えない容姿の主人公とは大違いである。 そして、主人公に対しての冷たい態度。 他の読者はそこをマイナスに捉えているようだが、サーシャにとってはプラスの要因だ。 この主人公、ウジウジしていてサーシャとしてはイマイチ魅力を感じない。 何か問題が発生しても、主人公自身の力で解決することは少なく、相手の貴公子や主人公の味方であるキャラクターが助けてくれる。 聖女なら自分で解決しろ、とサーシャはいつも脳内でツッコミをいれていた。 そんないけすかない主人公にエステラが暴言を吐くシーンは、サーシャにとっては「よくぞ言った!」というものばかりだった。 「殿方の力を借りないと何もできない女性なんて……みっともないですわ」 「周りのお友達があなたのために怪我をしたのに、あなたは何もせず隠れていて、無傷ですって? 情けないこと、この上なくってよ」 このセリフは多くの読者たちから「エステラ、ひどい! 何もそこまで言わなくても!」という評価を受けているものだが、サーシャは自分の気持ちを代弁してくれたように感じていた。このセリフによって、エステラはますますサーシャのお気に入りになったというわけだ。 ちなみに、双子たちにエステラのイラストがあるページを見せて、どれだけ推しているか語ったところ。 「この女の子、エレオノーラに似てるね!」 「うん、似てる似てる! 気が強いお嬢様って感じ!」 という感想が返ってきた。 確かに、似ているかもしれない。 エレオノーラは意地悪なことを言わないが、このイラストの雰囲気や貴族の令嬢という設定はエステラと近いものがある。 「私、こういうタイプの女性に弱いのかしら? 確かに、周りにいなかったタイプの女性よね」なんてサーシャは思ってしまった。 実は、フィアナと仲良くなったのはエレオノーラがきっかけである。
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