サーシャの日常

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フィアナは、美味しいお茶と共に今日も面白い情報を持ってきてくれた。 彼女はとにかく学校のことに詳しい。 特に生徒の話となると、「辞書か?」と思えるくらいの情報量である 「そういえば、表立って行われていませんが。学校の人気生徒ランキングなるものがあるのです」 「人気生徒ランキング? 聞いたことなかったです」 初耳だった。この学校に来てから半年以上たち、季節ももうすぐ冬である。 だが、人気生徒ランキングなるものは聞いたことがない。 噂話が好きなノアとミアの口からも、その単語がでてきたことはなかった。 「ルゥさんが親しくされている方は貴族の方が多いので、耳に入らないのも無理はありません。貴族の方は参加しておらず、市民階級の生徒の間でこっそり開催しているものですから。貴族階級の見目麗しい生徒をアイドルみたいに扱っていて、ちょっと俗っぽい話ですしね。」 なるほど。 それでは、上流貴族である双子たちが知らないのも道理である。 リーテ王立魔法学校は、学費は高いが貴族階級も市民階級も関係なく入学することができる。生まれによっての格差はないが、やはり同じ階級同士で親しくなることが多いようだ。貴族階級のエレオノーラやレイヴン、双子たちと市民の出であるサーシャが親しくしていることは、珍しい。 そんなサーシャは、階級的には市民だが貴族階級の友人が多い。双子たちが紹介してくれる友人というのは当然貴族なので、結果としてそうなったのである。 サーシャにとって、フィアナは数少ない市民階級の友人だ。市民階級の友人が多くないサーシャにとって、この「市民階級の生徒の間でこっそり開催」という単語は興味を掻き立てられるものだった。しかも人気生徒ランキング。気になる。
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