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「今の仮王が中にいて……」
「浮気だわ!」
「追い出したんですよね?」
「不潔ですー!」
「勿論、話があるからと退出させた。仮王は元々は城専属の医師だったから、診察だと思っていたのだ。しかし、何度見ても診察に見えず、私兵で探らせていたところ、密通があるのが分かり、私は二人を追放しようとしたら、逆に牢に入れられてしまった。ヘンリーはその時島に居なかったのだ」
「私が城に戻ると王の席に仮王が。王妃に問いましたが、元々の王は仮だと。そして、姫を小舟で流すことにより、私の命を助け、仮王付きにすると言うので仕方なく」
「仕方なく無いわよ!」
「馬鹿じゃないんですかー?」
「しかし、城を探しても王が見つからず、探すには従うしか。せめてと王族が使うおくるみで包み、名を女兵に刺繍させ、小舟にも嵐を抜けれるように細工はしました」
「おばあさん聞きました?」
「えっ?」
『聞こえてたよ。アレクだったかい?』
「誰だね?」
『この小童が!私がQUEの!育て親だよ!うちの船が島の近くに居て、沈みかけた小舟を見つけて拾ったら、中に赤ん坊がいて、捨てる訳にも行かないから育てたんだよ!運試しに海に落としたり色々したけどね!たくましく育てて、大きくしたのは私と私の海賊団と大鍋海賊団だよ!よく覚えておきな!』
「そ、それは……ありがとう……ございます」
『それと、ヘンリーとやら』
「は、はい」
『言いなりになってるんじゃないよ!街の隅にでも金渡して預からせたら良かったろ?』
「出来なかったのです。見張りが付いていて……」
『とにかくだ。王様は、仮王討伐するんだろうね?』
「もちろんだ」
『QUEは城の言い値の八億で城に売った』
「……なるほど。ならば奪還に協力してくれるのならば宝物庫の……」
「すいません、高そうなものもらってきちゃいました」
「なんだと!」
「良いんだヘンリー。この八年で何をして儲けた宝物かも分からぬものは要らぬ。全て……とはいかぬが、好きなだけ持っていくと良い」
「ほんとでちゅか?」
「ただし。奪還後は内政が落ち着くまで体裁がいる。QUEにはその間……いや、10日でいいから城に居てもらいたい」
「やだ」
「何故だ」
「毒入りごあんはいらん!」
「そんなことはさせぬし、働くものも入れ替える。もちろんこの船の方々も客人として城に迎えるつもりだ」
『執事、それでいいのかい?』
「ええ。面白そうですし。ただ、人手が足りないかと」
『うちからは、料理担当にイゲさんとちょっと城に詳しい参謀を向かわせることにするよ』
「ば、ばあたん、参謀いらん」
『まだ怖いのかい?解散してから今は教師をしてるよ。本人は暇つぶしと言ってるけどね』
「余計いらんわ!」
『ロイドと王と執事で作戦立てればいい。先頭に長けてるものは爺さんがもう向かわせてるよ。変な飛行船の改良版とやらで』
「いつ着きまちゅか?」
『早くて夜中だねぇ。じいさん達は朝になるかも。それで、私たちの島を後で教えるから、うちの息子と交易してもらいたい。CROWN島特産の墨は高く売れるからね』
「いいだろう」
「ですが!」
「王座に戻らなければ、民がどうなる?牢から出て街を見下ろした時、昔より建物も古くなっておった。噴水の水さえ勢いもない。なのに8億出せる資金があるのに直さないなどあってはならぬ事だ」
一体何をしていたんだ!とヘンリーに言っているが、「羊の被り物をした海賊が王妃に金儲けの話を。詳しくは教えて貰えませんでしたが、墨の木ごと売る計画があるのは小耳にはさみました」
『それは辞めさせないとねぇ。あの木を切ったら、切り株から液が溢れるはずだよ』
「確かに。古くから切ってはならぬと言われている木。街側は普通の木だが、その普通の木も切ってはならぬ事になっていて、切ったものは罰を受けることとなる。必要な時はほかの森から切るようになっているのだ」
『いいかい?王と言えど、島に残る残らないはQUEの決めることだ。絶対に強制するな!無理強いしたら元海賊船員全員招集して島ごと壊す』
「おばあさんなら、やりそう」
「島が沈むでしか?」
「大砲いくついるんでしょうか?」
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