2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
眼鏡のせいか、冷たさを感じる顔立ち。
そこに重たげに伸びた髪がかかっている。
首には、白っぽいくすんだ色のヘッドホンがかかっていた。
自分と同じ、学生だと思う。
しかし、自分が男の存在に気づいたにも関わらず、
こちらを凝視し続けている様は、少し異様だった。
――え、なんで、なに…?
これ、どうしたらいいんだ?
なにか変な事とかしてたっけ…?
あ。
自分が泣いていたことに思い至った時、
ぽろり、
と涙が一粒こぼれた。
ゆらり、
男が動いた。
え。
こっちに来る。
近づいてくる。
ずっと、
こちらを見たまま。
男が、
目の前に来た。
虚ろな眼と視線が絡まる。
男の手が伸びてくる。
その手は―
最初のコメントを投稿しよう!