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「はぁ…痛い…」
今日は雨が降っている。
僕はまた、いつもの階段下に来ていた。
(この間は…貴重な体験をさせてもらったな…)
これからはあの日の感触を思い返して、「鎮痛泣き」に使わせてもらおう。
さあ、
痛みはちょっと端に追いやって、
自分の思考にダイブして…
「…ああ、いたいた。」
重たげに伸びた髪。
白っぽいくすんだ色のヘッドホン。
――ど、どうして…?
連絡先はおろか、名前すら互いに知らない。
あの後、大学内で会うこともなかった。
それなのに。
あの時、
頭を撫でてくれた彼が、目の前に立っていた。
「今日は頭痛くなってそうな気がして来てみたけど…
よかった」
そう言って彼は、なぜか。
本当にうれしそうに、
笑った。
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