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「え、ど、どうされました!? 具合が悪いのですか!?」
「違う」
秋都様はそばに寄った私を見上げる。
少し機嫌の悪そうな顔で。
「色々、考えていて……欲が出たことに気づいた」
「はい……?」
「俺は猫だから、元々好かれるつもりもなかったし。すずが俺の知らないところで何をしていようが構わないんだ」
何の話をしているのか分からない。
もしかして渡り魂のことだろうか?
私が首を傾げていると、秋都様は勢いよく立ち上がって乱暴に私の手を掴んだ。
「けどすずを一番幸せにできるのは俺だ。それだけは絶対に譲らない」
秋都様は私の手を引いて屋敷へ入って行った。
力が強くて少し痛い。
あと、追いつくのが大変だ。
私を幸せに、とは、なんのことでしょうか……。
何だかよく分からないままに、屋敷へ戻った秋都様は私と会話をすることはせずすぐに寝てしまった。
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