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「ただいま」
僕は脱ぎ捨てられた
スカートやストッキングを跨いで
ダイニングテーブルに辿り着く
テーブルの上は
いつ食べたのかもわからない
食料の容器や箸が乱雑に放置され
今、コンビニで買ってきたサンドイッチを置く場所もない
その上
外から帰ってきた僕の体が
痒くなるほどに
部屋の中は暖かい
脱ぎっぱなし
食べっぱなし
つけっぱなし
「お腹すいたぁ」
無邪気にコンビニの袋を覗いて
ガサゴソ手を入れる母に
「なんか着ろよ」
と、だけ言って
僕は床を探して自分の部屋に向かった
わかってる
わかってるんだ
僕の母親は天真爛漫で明るくて
僕を・・愛してくれている
でも・・
僕だって・・
その時、男の声がした
あいつだ
僕は何事もなかったかのように黙って外へ出た
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