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朝に手紙が下駄箱に入っていた。差出人は同じクラスの園川大介。でも席も離れててほとんど喋ったことはない。
でも『昼休み、体育館裏に来てください』なんて完全に告白じゃない!
お付き合いとかはまるっきり興味なかったけど、せっかくなので人生初の告白というのを体験してみたくて、なんて言ったら相手に失礼よね。
まあとりあえず告白だったら断らなきゃいけないと思ったから来てみたんだけど……。
言われたのは予想外の言葉だった。
「えっと、どういうことなの?」
手紙の主、園川大介は目をキラキラさせながら言う。
「俺、一年の時に鈴原さんを見かけて、それ以来ずっと気になってたんだ!」
やだ、照れるじゃない。まあ仕方ないわね。美少女だもの。
「でも、どうして一日だけ?」
「俺、鈴原さんの期間限定に弱いところが好きなんだ」
「……は?」
園川は頬をかきながら照れ臭そうに笑っている。いや、そこ照れるところじゃないんだけど。
「俺、デパートで初めて期間限定商品に一直線に向かう鈴原さんを見てさ、それからたまにデパートでも見るようになって。学校でも鈴原さんを目で追うようになって」
「へ、へー……」
「期間限定に弱いっていうこと知って、それなら一日限定でならお付き合いしてくれるかなとか思って」
ん? どういうことかしら?
「いや、あんたはそれでいいの?」
「うん、俺、期間限定に弱い鈴原さんが好きだから」
「……」
なるほど。初の告白かと思って、ちょっとウキウキしたのがバカらしい。
「いや、悪いけどお断り」
「ええ! 期間限定に弱いんじゃなかったの!?」
私は蹴りを入れるために少し腰を屈める。
「ちょ、鈴原さん、よく考えてみて! 期間限定だよ? 一日期間限定なんだよ!?」
「!」
その言葉にピクッと体が震える。やばい。私の『期間限定』に弱いところはこんなところでも発揮されるの?
「ね、鈴原さん!」
「いや、でも……」
いやいやいや、こんなのに乗せられちゃダメよ、私! こんなのに釣られたらさすがにバカよ!
「これあげるから」
「も、物で釣ろうったってそうは……」
園川の手には、『期間限定スナック菓子』と書いてある袋が!
「お願い鈴原さん」
「しょ、しょうがないわね。一日だけだから!」
「やったー!!」
鈴原リン。一日だけお付き合いすることになりました。
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